ぐりとぐらとママのきろく

元不登校長男「ぐり」と、現役不登校次男「ぐら」との記録です。

本 「10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方」を読んで

 

 

 みんなの学校

「困った子は、困っている子」

表紙に書かれたこの言葉に、私はハッとしました。
 
問題児や困った子というのは、大人が主語。
子供を主語にすると「困った子」ではなく「困っている子」になる。
見方が変われば、教育は変わる!!
 
大阪市にある「大空小学校」の初代校長先生、木村泰子さんの著者です。
「大空小学校」はドキュメンタリー映画「みんなの学校」の舞台の学校です。
以前「みんなの学校」の予告動画を観たことがあり、
興味はあったものの、映画を観る機会がなく、
たまたま、ビビッときたこの本が、その映画の校長先生だったことに
これは出逢いだと思い、即座にネット注文し、一気に読みました。

 

 見えない学力とは?

 想定外を乗り越えていく、
想定外を楽しんでしまう、
違いを格差にせず、
「いろんな子がいる」と想像する力。
10年後の「多様性」「共生」「想定外」の社会で生きて働く力。
 

見えない学力に必要な力とは?

人を大切にする力
 
自分の考えを持つ力
 
自分を表現する力
 
チャレンジする力 
 
 社会に出て必要なのは「失敗しない力」より「ピンチを切り抜ける力」
 子どもに、この力をつけさせるためには、まず親がこの4つの力をつけること!
 
 本当は もっともっと細かく、すべてをここに書きたくなるほど、
心がスッキリした1冊でした。

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 紐解き

この本を読んだのは、今年の2月。
ぐら小5の3学期、毎日1時間くらい教室で授業を受けるようになった頃でした。
 
この本を読み私は、これまでのぐらの言動には、
深い深い意味があったのだと感じ、
今までのことが紐解かれた感じがしました。
そして、いろいろな人にアドバイスされたことも、
自分なりに学んだことも、より理解が深まり、
点だったものが線でつながったような
そんな感覚になりました。
 
ぐらが登校渋りをして、私の
「○○しなければならない」という
凝り固まった思考が少しずつ溶けていき、
だいぶ緩くなっていたのは感じていましたが、
ここまでスッキリするまで3年かかりました。
 (我ながら、なかなかの頑固です)
 
もちろん、それまでもぐらの状況
(登校渋り、放課後登校など)は
受け入れていたのですが、
私のその受け入れは、
「今はこれで仕方がない」
といった、どこか諦めのような気持ちでの受け入れでした。
でも、この本を読み、しっかりと腑に落ちる感覚があり、
心が軽くなりました。
 
この本は、決して不登校万歳!という本ではありません。
むしろ大空小学校は不登校児童がゼロだそうです!
 

理解者の存在

大空小学校の子とぐらは、なにが違ったのか??
ぐらにとって、学校が安心安全の場になっていなかった。
ぐらにとって、先生やクラスメイトが安心の存在になっていなかった。
 
登校渋り当初、先生や周囲に心を閉ざしかけていたぐらは
「昇降口の前に大きな壁がある」
と言い、学校の門はくぐっても、
校舎に入れない時期がありました。
ぐらは、ただ呆然と座り込む日もあれば、
泣きながら暴れる日もありました。
 
保健室の先生(養護教諭)が泣いて暴れるぐらを抱き抱えました。
ぐらは
先生にぐらの気持ちはわからない!!」
と泣きながら言いました。
先生は
「わからないかも知れない。でも、わかりたいと思ってる!」
と本気の声で答えました。
 
その後、ぐらは少しずつですが、保健室登校ができるようになりました。
ぐらは、他の子と会わない、人がいない、静か、という理由だけで
保健室登校ができたわけではなく、その大前提に
保健室の先生が自分を理解してくれる存在だったから、
保健室登校ができたのだと、この本を読んで改めて思いました。
 
 この、保健室の先生には、感謝してもしきれないほど、
お世話になりました。(またいつか、記事にしたいと思います。)

周りの成長 

また、ぐらは教室に入れない理由を「空気」と言っていたことがありました。
今、短時間でも教室に入れるのは、
本人の「勇気」「覚悟」「成長」ももちろんですが、
きっと教室内の「空気」が変わったのだと思います。
 
担任の先生のご理解から、クラスメイトの意識が少しずつ、
他社を認める空気になったということだと感じています。
周りが成長してくれた。
今ぐらは、独自の時間割で登校しています。
それをとやかく言う子も、不思議に思う子ももういません。
2時間目から登校しても、たとえ授業中に教室に入っても
「おはよー!」と声を掛けてくれます。
お迎えに行くと、クラスの子供たちは教室の窓から
私にも手を振ってくれます。
帰る時は「また明日ね!」と、
昇降口に見送りに来てくれたりもします。
一緒に外まで出て、先生に「ついていかないよー!!」なんて
呼び止められることも。
先生のお話では「ぐらの登校スタイル」を
みんなが当たり前として受け入れてくれているようでした。
 
この本の中にもありました。
 
「自分の子を成長させたければ、周りを育てる。結果として、自分の子が育つ」
 
私を含めた違和感だらけの周囲を相手に、
ぐらは大事なことを教えてくれていたような気がしてなりません。

育ち合う

もちろん、学校に通っていれば、トラブルも失敗もあります。
登校渋り当初、私は「トラブルになったらどうしよう」
と常に身構えていて「おとなしくしていて」と願っていました。
 
それは、ぐらのトラブルに、
その都度先生から注意を受け、
結果、学校行きたくない。
という事態になったという事実があったから。
おとなしくしてくれていれば、
トラブルにもならない、
先生に注意を受けることもない
ということを考えていたのです。
 そして、何かあると「私がなんとかしなければ」
という思考もなかなか抜けずにいました。
もう私の心が、不安定になっていたのです。
 
ぐらの良い部分やぐららしさといった個性が
全く見えなくなっていて、それどころか、
怖かったのです。
ぐらが泣いて落ち込むことが。
周りに迷惑をかけることが。
悪目立ちすることが。
「困った子」になることが。
それこそ、ぐらを「困っている子」という視点で
見られなくなっていて、
ぐらを通わせる学校が私にとっても
安心の場ではなかったのです。
 
 そしてあの頃、ぐらも私のそんな気持ちを察していた
部分があったのかも知れないと思えてなりません。
 
私は、毎日ぐらの登下校や、放課後登校に付き添っていていたので、
先生方ととにかくたくさんお話をする機会ができました。
ぐらの話はもちろん、
休日の話、趣味の話、
美味しいパン屋さんの話、学生時代の話、
先生のプライベートの話、ほんの少しの立ち話でも、
先生方と雑談ができるまでになりました。
 
そのおかげか、今は、先生方のご理解と共に
ぐらの課題となる部分を先生と共有できています。
子どもが育っていくには、
親にできることと、
逆に親ではできないことがあると思っていて、
先生には、親とは違う立場でぐらと関わってもらい、
親や先生ともまた違った、子ども同士の関わりから、
みんなに育ててもらおう!
育ち合おう!
と、いう気持ちになれました!!!
 
大丈夫!!
失敗してこい!!
先生、よろしく!!
という気持ちで、送りだせるようになりました。
肩の力が抜けました。
結果として、ぐらをも軽くしたように思います。
 

成長

「ぐらくん、成長しましたね」
と言われることが増えました!
でも、実は
成長したのは、私の方です!!
と思っている私です😁✌
 
やっとここから始まる気がしました!
 
この本は、私にとって運命の出逢いとなる一冊でした。
 そして、ここから私の「木村泰子先生熱」が一気に高まります(笑)